白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々
原題:Sophie Scholl-Die letzten Tage 2005年 ドイツ 117分
監督:マルク・ローテムント 脚本:フレッド・ブライナースドーファー
出演:ユリア・イェンチ、アレクサンダー・ヘルト、ファビアン・ビンヌリスフ
ストーリー・概要(映画.comより)
1943年のミュンヘン。ナチスの敗北が迫る中、非暴力的レジスタンス運動を展開するドイツ人学生グルーブ、白バラ。その紅一点、21歳のゾフィーと仲間は、チラシを配布していたところを逮捕され、ナチスに協力することを拒み、6日後という異例な速さで処刑された。この実話を基に描く人間ドラマ。監督は「アンツ・イン・ザ・パンツ!」のマルク・ローテムント。第55回ベルリン国際映画祭銀熊賞、最優秀監督賞、最優秀女優賞を受賞。
死をもって抗議する
冒頭、友人と音楽を聞きながらクスクス笑っていたゾフィーは、本当にどこにでもいそうな女の子に見えました。
そんな楽しそうな場面はそこだけで、大半は暗いゲシュタポ建物内でのシーンです。
ナチス批判のチラシを配っていたことがバレて、早くも捕らえられてしまうゾフィーと兄ハンス。
2人は引き離され、ゾフィーは取調官に尋問を受けます。とても長い、緊迫の駆け引きが続きます。
はじめは実刑を逃れようと嘘をついていたゾフィーですが、兄ハンスが自供したことを知ると、自分の信念を訴え出します。
その毅然とした態度は、取調官を圧倒しているようにも見えます。
それでもナチを批判する以上、決して許されることはなく。
彼女は兄や仲間の一人クリストフ(妻子持ち)と共に法廷にかけられてしまいます。
ゲシュタポ将校(かなあ?)がズラリと並ぶ中、有罪しか考えていない裁判長の厳しい質問が飛びます。
この法廷、何の意味があるんだよと言いたくなる程アウェーな裁判ですが。
本当にもうむかつくんだ、この裁判長がっ!!
そんな状況にも屈せず、正義を貫き通すゾフィー達に下された判決は「3人とも死刑」。
しかも猶予期間なんてものはなく(最短で99日間あるという話だったのに)、即・日・処・刑!
「今すぐ遺書書きなさい」なんて言うんです!
なぜなんだ!?
そこからあれよあれよという間にことは進んでいき…。
遺書を書くため小部屋で一人になった時、ゾフィーは泣き崩れてしまいます。
今まであんなに気丈に振る舞っていた少女が、声を上げて泣いていることがもうショックでたまりませんでした。
さらに、わずかな両親との面会の後、泣いているところをあの取調官に見られてしまうゾフィー。
「両親に別れを言ったから泣いている」と言ったのは彼女のプライド、ナチへの最後の抵抗だったのでしょう。
映画のラスト、処刑室に通されるゾフィー。真っ白い部屋に置かれていたのはギロチン台…
ギロチンってところに仰天した。てっきり首吊りとかだと思っていたから…!
台にゾフィーの首が固定され、その最期の表情を下から捉えています。なんという残酷な演出。
シーンごとに、画面の隅に日付と時間が出てくるのですが、彼女たちがビラをまいてから処刑されるまでは、なんとたった6日間の出来事なのでした。
ゾフィーは最期まで、大学に出かけた時に着ていたあの赤いカーディガンのままでした。そんな細かな色々が、この事件の残酷さに拍車をかけます。
学生のレジスタンスグループの存在とか、何をやったら逮捕されるのかとか、この時代の処刑方法とか、私は無知ゆえ全然知らなかったのですが、あえて何も知らない方がこの作品がよりショッキングに映ることだろうと思います。