Smokeblue Theater

映画の備忘録

365日のシンプルライフ

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題:Tavarataivas 2013年 フィンランド 80分

監督・脚本:ペトリ・ルーッカイネン

ストーリー・概要(映画.comより)

自分の持ち物すべてをリセットするという実験生活に挑戦したフィンランド人青年の1年間を追ったドキュメンタリー。ヘルシンキで暮らす26歳のペトリ・ルーッカイネンは、失恋をきっかけに、多くの物に囲まれた生活を見直そすことを決意。自分の持ち物を一旦すべて倉庫に預けて11個ずつ自宅に持ち帰り、他には何も購入しない、という生活を1年間続けることに。今の自分に必要な物を選ぶ行為や、物に対するさまざまな葛藤、さらに手助けしてくれる人々との触れあいのなかで、ペトリは自分の人生にとって本当に大切なものは何かを発見していく。主人公ペトリの実体験をもとに、ペトリ自らが監督を務めて製作した。

 

必要なものは少しだけ

ミニマリズムとか断捨離が相変わらず流行ってるみたいですが。

ここ数年で、私自身も持ち物を「増やしたい」から「減らしたい」という考えに変わってきています。

もともと収集することは好きで、これまでにも映画のチラシだとかお菓子の缶だとか文庫本だとか色んなものをちまちまとコレクションしてきました。

しかし、部屋の中に溢れかえった物の中から目的の物を探す煩わしさに気づき、ごっそり処分してしまいました(意外と手放すことに抵抗はない)。

モノが少ないと掃除をするのも楽です。増やしたくないと思うと、おのずと物欲もなくなっていくのでお金もかかりません。

 

このドキュメンタリーの監督である青年も、溢れかえったモノにうんざりし、生活を見直すことを決意します。

その方法がなんとも画期的。

普通は、いらないモノを選別して徐々に処分していくと思うんですが、

彼はまず部屋の中の一切のモノを全て倉庫に預け、一日にひとつずつ必要なものから取り出していくという方法をとります。

最後に手元に残るのが必然的に本当に必要なモノ、というわけ。

真似するのは難しいけど、これはかなり合理的で良い方法ではないかと思います。目からウロコ〜!

 

しかしこの監督、本当に文字通り「全て」預けちゃってます。

それはつまり、身につけるべき衣服も含め全てなのです。

ゆえに第一日目はすっぽんぽんからのスタート!

まさかそこまでやるとは思っていなかったので、映画冒頭、すっぽんぽんで倉庫まで疾走(途中で金隠し用の新聞をゲット)する青年を見て「何だ、これは!?」とギョッとしました。

ちょっとちょっと、フィンランドですよ?雪降ってますよ?

ここまでやる監督が偉い。バカだけど偉い。

ちなみに最初に倉庫から取ってきたのはロング丈のコート。納得のチョイスでした。

 

一日一個だけ、倉庫から取り出せるというルールなんですけど、50個くらい取り出したところで「もう別にモノいらん」という心境になるのが興味深かったです。

生活する上で本当に必要なものって、意外と少ないのかもしれませんね。

 

嗤う分身

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原題:The Double 2013年 イギリス 93分

監督:リチャード・アイオアディ 脚本:リチャード・アイオアディ、アビ・コリン

出演:ジェシー・アイゼンバーグミア・ワシコウスカ、ウォーレス・ショーン、ノア・テイラー、ヤスミン・ペイジ、キャシー・モリアーティ、ジェームズ・フォックス

ストーリー・概要(映画.comより)

文豪ドストエフスキーの名作「分身」の舞台を近未来的世界に置き換え、「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ&「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ共演で映画化した不条理スリラー。不器用で気の小さい青年サイモンは、向かいのアパートで暮らすあこがれの同僚ハナを望遠鏡で覗くことだけが楽しみの孤独な生活を送っていた。そんなある日、サイモンの職場に彼と瓜二つのジェームズが入社してくる。しかもジェームズは、サイモンよりはるかに優秀で……。監督は「サブマリン」のリチャード・アイオアディ。「ザ・ダブル 分身」のタイトルで2013年・第26東京国際映画祭コンペティション部門で上映された。

 

世にも奇妙な物語? 

ドストエフスキーの『分身』は有名なので何となく概要は知っていましたが、読んだことはありませんでした。

なんだか『世にも奇妙な物語』に出てきそうな話だな〜というのが感想です。

よく出てくるし、ドッペルゲンガーとか!

 

過去なんだか未来なんだか判然としない、奇妙な世界観が良かったです。

建物や服装はレトロなんだけどな〜(レトロな格好のミア・ワシコウスカ、可愛かった)。

主人公が働く会社も、しょっちゅう登場する割に何の会社だかさっぱりわからないという奇妙さ。

 

中でもこの映画で一番奇妙だと思うのは、あれです。

劇中歌として流れる昭和歌謡

BGMにまさかの昭和歌謡チョイス。

上を向いて歩こうとか、ジャッキー吉川とブルー・コメッツの「ブルー・シャトウ」が、ジェシー・アイゼンバーグの背後で流れている状況がすごく愉快でした。

でもただ変なんじゃなくて、場面に合わせた選曲になっていて感心〜!ちゃんと歌詞が主人公の心情にマッチしてるんですよ!

まあ、イギリス映画で昭和歌謡が流れることが奇妙と言ったって、よくよく考えてみると、実はこれってごく普通のこと。

日本映画で英語やフランス語の曲が流れるのと同じことなのでした。

特にフランス語なんてさっぱり意味が通じないから、雰囲気重視で選んでいることも多いのかもね(どうでしょう)。

フランスの方が見たら「なぜこのシーンでこんな的外れな歌詞の曲を…?」と不思議がることも、あるかもしれぬ〜。

 

主人公と、主人公のドッペルゲンガーの2役を頑張って演じているのはジェシー・アイゼンバーグ

冴えない主人公時は本当にモタモタしてるし、うってかわってドッペルゲンガー時は凄いキレ者に見えるので「おぬし、なかなかの演技力」と思いました。

しかしジェシー・アイゼンバーグって、素で早口なんですね。

グランド・イリュージョン』を観たとき、あまりの早さにビックリしたんですが、役柄と演出のせいかと思ってました。

ジェシー・アイゼンバーグってあんまり特徴がないので、今後は「早口な子」と呼びたいと思います。

 

 

 

ミスター・ノーバディ

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原題:Mr. Nobody 2009年 アメリカ 137分

監督・脚本:ジャコ・バン・ドルマル 

出演:ジャレッド・レトサラ・ポーリーダイアン・クルーガー、リン・ダン・ファン、リス・エヴァンス

ストーリー・概要(映画.comより)

トト・ザ・ヒーロー」「八日目」で知られるベルギーのジャコ・バン・ドルマル監督が、人生の選択によって生じるさまざまな可能性を、複数パラレルワールドで描くファンタジードラマ。2092年、科学技術の進歩により不死が実現した世界で、唯一命に限りのある118歳のニモは、死を目前にして過去を回想する。最初の選択は、9歳だったニモが別れた両親のどちらについていくかで始まった……。主演は「レクイエム・フォー・ドリーム」のジャレッド・レト

 

人生は、選択の連続

まず、主人公の名前がニモ…。

私が連想するのはやっぱりお魚のニモなんですけど、「ニモ」って、アメリカにおいてどういう印象の名前なんでしょうね。

珍しいのか、よくあるのか。はたまたかっこいい系なのか、かわいい系なのか。

洋画を見てて変わった名前が出てくると、いつもそんなことを考えます。

日本名で例えるならば何かしら、とか。

この映画は主人公ニモが自分自身のことを回想するお話なので、内容は「ファインディング・ニモ」と差異はないと思います。

嘘です。

 

ニモが成長していく上で、様々な分岐点が訪れます。

離婚した両親のどちらについていくのか」という二択。

三人の女性の内、誰と結婚するのか」という三択(贅沢だなオイ)。

それぞれの選択をした別々の「ニモ」のシーンが目まぐるしく入れ替わり、ボケッと見てると、も〜サッパリといった状況になってきます(ボケッと見ないで下さい)。

 

選択すべき対象の女性は3人いるんですが、ニモが気になっているのは主にブルネットとブロンドの子の2人。黒髪のアジア人女性はハナから眼中になし!でした。

出演シーンも他の2人と比べてグッと少なかった、可哀想なアジア人女性。

 

選択結果に決して「正解」はなく、どの人生にも困難が付きまとうというのが印象的でした。人生って複雑ですよね。

実生活でも、「あの時こっちを選んでいたら、どうなっていたかな」なんてついつい考えてしまうこともあるかと思います(前向きな人はあんまり考えないのかな〜?)。

この映画のように「違う選択をしていた自分」を見てみたい気もするかも…。

まあ〜考えれば考える程、どうにもならないことなんですけどねー。