嗤う分身
原題:The Double 2013年 イギリス 93分
監督:リチャード・アイオアディ 脚本:リチャード・アイオアディ、アビ・コリン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、ミア・ワシコウスカ、ウォーレス・ショーン、ノア・テイラー、ヤスミン・ペイジ、キャシー・モリアーティ、ジェームズ・フォックス
ストーリー・概要(映画.comより)
文豪ドストエフスキーの名作「分身」の舞台を近未来的世界に置き換え、「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ&「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ共演で映画化した不条理スリラー。不器用で気の小さい青年サイモンは、向かいのアパートで暮らすあこがれの同僚ハナを望遠鏡で覗くことだけが楽しみの孤独な生活を送っていた。そんなある日、サイモンの職場に彼と瓜二つのジェームズが入社してくる。しかもジェームズは、サイモンよりはるかに優秀で……。監督は「サブマリン」のリチャード・アイオアディ。「ザ・ダブル 分身」のタイトルで2013年・第26回東京国際映画祭コンペティション部門で上映された。
世にも奇妙な物語?
ドストエフスキーの『分身』は有名なので何となく概要は知っていましたが、読んだことはありませんでした。
なんだか『世にも奇妙な物語』に出てきそうな話だな〜というのが感想です。
よく出てくるし、ドッペルゲンガーとか!
過去なんだか未来なんだか判然としない、奇妙な世界観が良かったです。
建物や服装はレトロなんだけどな〜(レトロな格好のミア・ワシコウスカ、可愛かった)。
主人公が働く会社も、しょっちゅう登場する割に何の会社だかさっぱりわからないという奇妙さ。
中でもこの映画で一番奇妙だと思うのは、あれです。
劇中歌として流れる昭和歌謡!
BGMにまさかの昭和歌謡チョイス。
「上を向いて歩こう」とか、ジャッキー吉川とブルー・コメッツの「ブルー・シャトウ」が、ジェシー・アイゼンバーグの背後で流れている状況がすごく愉快でした。
でもただ変なんじゃなくて、場面に合わせた選曲になっていて感心〜!ちゃんと歌詞が主人公の心情にマッチしてるんですよ!
まあ、イギリス映画で昭和歌謡が流れることが奇妙と言ったって、よくよく考えてみると、実はこれってごく普通のこと。
日本映画で英語やフランス語の曲が流れるのと同じことなのでした。
特にフランス語なんてさっぱり意味が通じないから、雰囲気重視で選んでいることも多いのかもね(どうでしょう)。
フランスの方が見たら「なぜこのシーンでこんな的外れな歌詞の曲を…?」と不思議がることも、あるかもしれぬ〜。
主人公と、主人公のドッペルゲンガーの2役を頑張って演じているのはジェシー・アイゼンバーグ。
冴えない主人公時は本当にモタモタしてるし、うってかわってドッペルゲンガー時は凄いキレ者に見えるので「おぬし、なかなかの演技力」と思いました。
しかしジェシー・アイゼンバーグって、素で早口なんですね。
『グランド・イリュージョン』を観たとき、あまりの早さにビックリしたんですが、役柄と演出のせいかと思ってました。
ジェシー・アイゼンバーグってあんまり特徴がないので、今後は「早口な子」と呼びたいと思います。