Smokeblue Theater

映画の備忘録

トム・アット・ザ・ファーム

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原題:Tom a la ferme 2013 カナダ・フランス 100分

監督:グザヴィエ・ドラン 脚本:グザヴィエ・ドラン、ミシェル・マルク・ブシャール

出演:グザヴィエ・ドラン、ピエール=イブ・カルディナル、リズ・ロワ、エブリーヌ・ブロシュ、マニュエル・タドロス

 

ストーリー・概要(映画.comより)

監督第3作「わたしはロランス」の劇場公開によって日本でも注目を集めるカナダの若き才能グザヴィエ・ドランが、カナダ東部ケベック州の雄大な田園地帯を背景に、閉鎖的な家族と地域を舞台に描いた心理サスペンス。恋人の男性ギョームが亡くなり悲しみに暮れるトムは、葬儀に出席するためギョームの故郷を訪れる。しかし、ギョームの母アガットはトムの存在を知らず、息子の恋人はサラという女性だと思っている。トムの存在を唯一知るギョームの兄フランシスは、トムに恋人であることを隠すよう強要。当初は反発を覚えたトムだったが、次第にフランシスの中に亡きギョームの姿を重ねるようになり……。カナダの人気劇作家ミシェル・マルク・ブシャールが2011年に発表した同名戯曲の映画化。

 

10月のトウモロコシ畑はナイフ

グザヴィエ・ドラン監督作品を観たのは『わたしはロランス』に次いで2作目。

 『わたしはロランス』の時は「この監督天才か!?」と思ったのですが、今回紛れもなく天才であることを再確認しました。

だってストーリーだけ見ると大して面白くなさそうな話なのに(すんません)、ここまで魅入ってしまうのはすごいです!

冒頭のシーンからもう、目が釘付け。ペーパーナプキンに真っ青なインクで一心不乱に走り書きをする主人公の手元のアップなんですが、これだけでもう「お、なんだなんだー?」とグッと興味が向いてしまう。

トムを演じているのがドラン監督ご本人。

いや〜、イケメンです。明るい金髪のせいもありますが、端正で人目を引くルックス。

そして監督、演技ももの凄くお上手。

20代半ばで監督として才能があり、演技もできておまけにイケメンって、パーフェクト

…って、どこ行っても言われるんだろうなーと思いました。

 

物語は、恋人ギョームの実家に向かうトムの目線で進んでいきます。

実家があるのは、なんだかどんよりとした雰囲気の、きな臭い田舎町

いかにも何か秘密がありそうなかんじ。いかにも事件起きそうなかんじ。

きな臭い田舎町、いいですね〜。大好物です。(←映画的にね)

 

そこで登場する兄フランシスが暴力的でめっちゃ怖い。

この人、トムがギョームの恋人だということを母親に隠していて、事あるごとにトムを脅してきます。

人の見ていないところで殴りかかってきたり、首を絞めたり…

トムを痛めつける一方、トムに依存(執着?)しているような素振りも見せるため、何を考えてるのかわからない怖さというのもあります。とにかく見れば見る程、「こいつヤバいな」と思わせる人物。

後半ではその兄が過去に何をやらかしたかが語られたりして、スリラー映画的展開もありましたが、私としてはトウモロコシ畑のシーンが恐ろしくて印象に残っています。

 

本当なら、途中でアスペクト比が変わる意味とか、本編中のあちこちに散りばめられた意図を拾い上げながら観るべきなんでしょうが、そういうのは映画玄人の方の解説を参考にするとして…。

正直私も小難しいことは分かりません。監督のインタビューでも、半分以上何言ってるのかわからなかったし(←おい)。

ただ、分からずとも観る人の目を釘付けにする作品を作れるってことは、監督として力量があるのだと思う〜。

「目釘付け映画」は、良い映画!

このブログではそんな自分勝手な基準にのっとり、今後もレビューしていきますよ。