Smokeblue Theater

映画の備忘録

イントゥ・ザ・ワイルド

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原題: Into the Wild 2007年 アメリカ 140分

監督・脚本:ショーン・ペン
出演:エミール・ハーシュマーシャ・ゲイ・ハーデンウィリアム・ハートジェナ・マローンキャサリン・キーナー、ビンス・ボーン、クリステン・スチュワートハル・ホルブルック

ストーリー・概要(映画.comより)

インディアン・ランナー」「クロッシング・ガード」のショーン・ペン監督が実話に基づくジョン・クラカワーのノンフィクション「荒野へ」を映画化。恵まれた 環境で育ちながらも、人生に不満を抱えていた青年がアメリカを横断。その果てにたどり着いたアラスカの荒野で死ぬまでの心の軌跡を描く。主演は「ロード・オブ・ドッグタウン」「スピード・レーサー」のエミール・ハーシュ。共演にマーシャ・ゲイ・ハーデンウィリアム・ハートキャサリン・キーナー、ビンス・ボーンら。

 

不自然な生活を捨て、自然な暮らしへ

裕福な家庭に生まれ、成績優秀でスポーツマンという、将来有望なはずの青年。
しかし大学卒業後、全てを捨て放浪の旅へ出ます。
名前も、"アレグザンダー・スーパートランプ"に勝手に改名。
預金を全額慈善団体に寄付し、車も乗り捨て、文字通りゼロからの出発。
道中、お財布に入ってたお札まで燃やしてましたから!
悔しさで歯ぎしりしたくなるシーンでした。「燃やすんならくれ!」と。
冒頭ですでに主人公がアラスカで死ぬことを告げられているので、彼の無謀な行動をどうしても肯定できないんですよねー。気分的に。
「お金はもっときな、燃やしたらアカン」とアドバイスしたいですよ、できるもんなら。

色んな人に出会いながら、クリストファーもといアレグザンダーはアラスカを目指します。途中、革職人に弟子入りし、これまでの道程を刻んだベルトを作成。
いいアイディア、それ!

アラスカでは捨てられたバスを住処に、たった一人で暮らし始めます。
周りには本当に人っ子一人いません。自然の只中に、一人ぼっち。
リアル・イントゥ・ザ・ワイルド状態です。
最初はサバイバル生活を楽しんでいた主人公ですが、持ち込んだ米が残り少なくなるのに比例してだんだんと余裕がなくなってきます。
米びつの底が見えてくると何か不安になるという方も多いでしょうが(そうか?)、
アラスカには米を送ってくれるお母さんもおりません。
ライフルでヘラジカを仕留めたりと頑張りますが、
処理する前にハエがたかってしまい、せっかくの肉が無駄になってしまう、なんてことも。
肉はすぐそこにあるのに、みるみるウジが湧いてもう食べられんのです!
その肉を横からかっ攫っていく狼。
なんだか妙に気が滅入ったシーンでした。私のお腹も空いてたからでしょうか。
「なんでもかんでも処理してから食べなければいけないなんて、人間って不便だな」
ってなことを考えたりも致しました。

観ていると、主人公の身体がいつの間にかやせ細っていくのがわかります。
例のベルトの穴も足りなくなり、新たに開けなければならない程。
主人公を演じたエミール・ハーシュは役作りのため本当に減量したそうな。すごっ!

衰弱した上、足に怪我を負ったため身動きできなくなった主人公は、
最終的に廃バスの中で餓死してしまいます。
その最後の瞬間まできっちりと描ききっていますが、彼が死の間際に何を考えていたのかは謎でした。
何を考えていたんでしょうね。「腹減った」とは思っていたはずだけど(←当たり前だ)