テイク・ディス・ワルツ
原題:Take This Waltz 2011年 カナダ 116分
監督・脚本:サラ・ポーリー
出演:ミシェル・ウィリアムズ、セス・ローゲン、ルーク・カービー、サラ・シルバーマン
ストーリー・概要(映画.comより)
女優サラ・ポーリーの長編監督第2作。「アウェイ・フロム・ハー君を想う」で認知症に直面した老年夫婦の愛と葛藤を描いたポーリーが、今度は結婚5年目の若い夫婦に訪れる変化を描いた。結婚して5年がたつマーゴとルーは、まだ子どもはいないが仲睦まじく穏やかな日々を過ごしていた。そんなある日、マーゴは仕事で訪れた島で出会った情熱的な青年ダニエルにひかれるものを感じてしまう。さらに、ダニエルが偶然にも自分たちの家のすぐ向かいに住んでいることを知り、マーゴの心は揺れ動いていく。主演は「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズと、「50/50 フィフティ・フィフティ」のセス・ローゲン。
女という生き物
昔から大好きなサラ・ポーリー。監督作品は初見でございます。
ミシェル・ウィリアムズとセス・ローゲンが夫婦役。
セス・ローゲンが、おバカの役じゃないのが意外!
いっつもそういう役ばっかり演じているイメージだったので、穏やかな優しい旦那さん役が新鮮でした〜。
旦那さんの職業はチキン料理研究家。
って、なぜにチキンに限定!?
なぜにチキン縛り!?
やっていけるんか!?
…いや、でも最近はディープな専門店とかのがウケてるし意外に儲かるかも!?
という具合に、序盤から旦那さんの心配が止まらない!
旦那とチキンが気になって気になって…!
妙なところで集中を削がれるのであった(いつもでしょうが)。
※ちなみに旦那さんが出したチキン料理本は大人気になってひと安心。
ミシェル・ウィリアムズに関しては、予測しないところで突然フルヌードが出てくるから油断できません。
別にそういうムードでなくてもジャンジャン脱ぐフランス映画とおんなじタイプですな。
プール後のシャワーシーンは、ミシェル・ウィリアムズどころかその場にいた人皆がヌードで度肝を抜かれました。
老いも若きもみな裸!!
ミシェル・ウィリアムズの裸体を受け止める準備はできていましたが、おばさんやおばあさんの裸を受け止める準備はしてな〜〜〜い!とアセアセしました。
そういう状態の人間に、若い肉体と老いた肉体の差をまざまざと見せつけるサラ・ポーリー恐るべし。
シャワーシーンの他にも、けっこう女性をリアルに表現した辛口シーンが多いな…と思いました。
例えば、旦那の元を去ってまで抱かれにいった男とのセックスシーンが、まるでダイジェストか走馬灯かのように描かれていたり(実際ぐるぐる回るカメラアングル)。
本来ゴールであり、最高にロマンチックであるはずの瞬間が「あれ?なんかそうでもないな」ってかんじになってて残酷!
その後も、なんとな〜く元旦那のところに帰って、なんとな〜く復縁を匂わせてみたり、女性特有の小ズルさがちょいちょいにじみ出るんです。
「充実してるんだけど虚しい」「幸せなんだけと孤独」というような、言葉ではうまく説明できない感情が渦巻く世界は、女性監督でないと描けないと思いました。
これは、男女で感想に大きく差が出そうな気がする〜。
女性は共感(真面目な人は嫌悪)、男性は「何がしたいの?」とか言うかもしれんなー。
私はとても好きでした。
ブリングリング
原題:The Bling Ring 2013年 アメリカ・フランス・イギリス・日本・ドイツ 90分
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演:エマ・ワトソン、レスリー・マン、タイッサ・ファーミガ、クレア・ジュリアン、イズラエル・ブルサール、ケイティ・チャン
ストーリー・概要(映画.comより)
「ロスト・イン・トランスレーション」「SOMEWHERE」のソフィア・コッポラ監督が、米ロサンゼルス・ハリウッドで発生したティーンエイジャーによる窃盗事件を題材に、欲望のままに犯罪に手を染めていく少女たちを描いた青春ドラマ。ハリウッドセレブが邸宅を構える高級住宅街カラバサス。セレブたちの華やかな生活にあこがれる少女ニッキーら5人組は、いたずら半分にセレブの豪邸をインターネットで調べ、空き巣を繰り返してブランド物を次々と盗み出していく。出来心ではじめた冒険だったが、やがて5人は後戻りのできないところまで足を踏み入れてしまう。ニッキー役に「ハリー・ポッター」シリーズのエマ・ワトソン。実際に事件の被害にあったパリス・ヒルトンが自宅をロケ地として提供した。
パリスさん、盗られてますよ。
ハリウッドセレブの自宅を狙った少年少女窃盗団のお話ですが。
その少年少女だって、そこそこセレブのお家の子。
別に、明日のパンに困ってたわけじゃないのです。楽しいからやってただけ!
まるで部活ノリ!
その時点で早くもムカっ腹が立ってきました。
留守中のセレブの家を狙うのですが、こんな簡単に侵入できんの!?と拍子抜けでした。
味をしめた少年少女は、セレブ宅でやりたい放題。
片っ端からクローゼットを開けてファッションショーを始めるわ、食うわ踊るわ…
何て大胆不敵というか、おバカというか。
実際に被害にあったパリス・ヒルトンが自宅をロケ地として提供してあげたそうで(優しいね)、パリスのお宅は長めに映っていましたが、やはり他のお宅と比べてブっ飛んでる気がしました。
宝石類がゴロゴロしてたし、何よりも自宅の中にクラブがあったのに驚き。
あれだけクラブに通い詰めてるのに、まだ踊り足りないのかパリスよ!?
と、なんだかパリスが心配になりました。踊り疲れて疲労骨折にならないことを祈ります。
他にも、オーランド・ブルームが高級そうな時計を盗られたりしてました(割愛)
ちなみに窃盗団メンバーにはあのエマ・ワトソンも。
たとえ役だとわかっていても、パーティー三昧のエマ・ワトソンを見るのは何だか複雑な気持ちになりますな。
シンプル・シモン
原題:rymden finns inga kanslor 2010年 スウェーデン 86分
監督:アンドレアス・エーマン、ボニー・スターグ・フィーニー 脚本:アンドレアス・エーマン、ヨナタン・シェーベルイ
出演:ビル・スカルスガルド、マッティン・バルストレム、セシリア・フォッシュ、ソフィー・ハミルトン、ロッタ・テイレ
ストーリー・概要(映画.comより)
アスペルガー症候群の主人公の目に映る世界を描き出し、2011年のアカデミー賞外国語映画賞のスウェーデン代表にも選出された長編作。広汎性発達障害のひとつとして知られるアスペルガー症候群のシモンは、物理とSFが大好きで、気に入らないことがあると自分だけの“ロケット”にこもってしまう。そんなシモンを理解できるのは、兄のサムだけ。しかし、シモンのせいでサムは恋人に振られてしまう。兄の新しい恋人探しを始めたシモンは、偶然出会った天真爛漫なイェニファーに狙いを定め、2人を近づけようとするが……。スウェーデンの名優ステラン・スカルスガルドの息子で、兄アレクサンダーも人気俳優のビル・スカルスガルドが主演を務めた。
磁石と同じ。正反対だから惹かれ合うんだ。
シモンを演じたビル・スカルスガルドは、あのステラン・スカルスガルドの息子さんなんですね〜。
そしてビルのお兄さんのアレクサンダー・スカルスガルドも俳優さんみたいです。
つまり、スカルスガルド家は俳優一家なんですね〜。
(こんなに「スカルスガルド」を連発されると舌を噛みそうでしょう。ふっふっふ。)
主人公シモンはアスペルガー症候群で、他人の感情を読んだり、触れられたりするのが苦手。
嫌なことがあると、部屋に置いてあるドラム缶みたいなロケットの中に閉じこもってしまいます。
そうなると親が泣こうが叫ぼうが出てこない。お兄さんだけが頼りです。
この弟思いで優しいお兄さんが素晴らしく、弟のことを本当によく理解しているな〜と感心(おまけにイケメンである)。
周りと馴染めないシモンと周囲の関係を、上手に取りもっているかんじでした。
シモンにとっては正になくてはならない存在。
しかし、問題が勃発。
シモンのせいで、お兄さんと彼女が別れてしまったのです。
シモンは兄のために完璧な恋人を探すことに。
この時のシモンの行動力よ!
数打ちゃ当たれというか、とにかく片っ端から女性に声をかけて質問を浴びせかけていましたよ…
あんたそれ、ナンパ師並み!
他人が苦手なシモンがここまで奮闘することに、お兄さんへの愛を感じました。
ほんとに大好きなんだな、兄ちゃんがさ…。
なんやかんやの末「恋人候補」に選ばれたのは、以前シモンが街で偶然出会ったイェニファー。
兄とは正反対の、ややガサツな女。
しかしこのイェニファーが、私的にかなりグッときました。
ガサツなんだけど、明るいんですよね〜。おまけにどんな状況でも楽しめる器のデカさもあり…
ひとことで言うと「めっちゃ良い子」です。
結論を言いますととお兄さんとイェニファーはくっつかないのですが、シモン、お兄さん、イェニファー皆にとって幸せな結末になって良かったです。