ベル&セバスチャン
原題:Belle et Sebastien 2013年 フランス 99分
監督:ニコラス・バニエ
脚本:ジュリエット・サレ、ファビアン・スアレ、ニコラス・バニエ
出演:フェリックス・ボシュエ、チェッキー・カリョ、マルゴ・シャトリエ、ディミトリ・ストロージュ、アンドレーアス・ピーチュマン、メーディ・エル・グラウィ
ストーリー・概要(映画.comより)
日本では「名犬ジョリィ」のタイトルでテレビアニメ化されたセシル・オーブリー原作の児童文学を実写映画化。戦時中のアルプスの小さな村で暮らす孤児のセバスチャンは、家畜や人を襲う「野獣」として村人たちから命を狙われている一匹の犬に出会う。セバスチャンは犬をベルと名づけて村人から守り、ベルとセバスチャンは次第に心を通わせていった。やがて戦争の影が色濃くなると、村にもナチスの捜索の手が伸びるようになる。ナチスからユダヤ人一家を救うため、ベルとセバスチャンは道案内人として冬のアルプス越えに挑むこととなるが……。監督は冒険家でもあり、映画「狩人と犬、最後の旅」も手がけたニコラ・バニエ。
冬のベルは、ふわふわもこもこ
「名犬ラッシー」なら知ってるけど、「名犬ジョリィ」知らんな〜。
と思っていたら、「ジョリィ」のアニメがやってたのは1982年までなんですねー。
うん、私まだ生まれてない。
映画冒頭に、セバスチャンがヤギを助けるために崖を下に降りていくシーンがありますが、その崖の高さに仰天。
何ていうかもの凄い崖なんです。ほぼ直角。
もちろん命綱はつけていて、ちゃんと上でセバスチャンのじいさんが支えてるわけですけど。
文句のひとつも言わずにスルスル崖を降りていくセバスチャン。
田舎の子どもは皆こうか!?
ヤギを助けるために孫を危険にさらすじいさんもどうかと思いました。
このじいさん、どうもヤギに甘いところがあるんですよね。ヤギLOVEなんですよ。
困ったじいさんだなあと。ま、それはおいといて。
ベルは、村の人から野獣と呼ばれていたでっかい犬です。
雌だったので、『美女と野獣』にひっかけてセバスチャンが名付けました。
ベルとセバスチャンがキャッキャと戯れるシーンはとっても微笑ましいです。
雪の中を駆け回るベルの毛が、ふわっふわのもっこもこで、
「うわああああ撫でたい撫でたい撫でたーーーい!!」と身悶えしました。
犬を飼ったことがない人間からすると、
犬が親友とか、犬が相棒とかいうのはとっても羨ましいわけですよ。
犬、飼いたかったなあ〜。
おじいさんと草原の小学校
原題:The First Grader 2010年 イギリス 103分
監督:ジャスティン・チャドウィック 脚本:アン・ピーコック
出演:ナオミ・ハリス、オリバー・リトンド、トニー・キゴロギ、アルフレッド・ムニュア、ショキ・モガバ、ビュシ・クネネ
ストーリー・概要(映画.comより)
イギリスの植民地支配から独立して39年がたった2003年、ケニア政府は無償教育制度を導入。何百人もの子どもたちで溢れる小学校に、84歳の老人マルゲが訪れる。いままで教育を受けたことがなかったマルゲは、何度門前払いを受けてもあきらめず、その情熱に動かされた若い教師ジェーンは、子どもたちと一緒にマルゲに勉強を教える。マルゲは学ぶことの楽しさを体験し、独立戦争の兵士として戦った若かりし日の悪夢がよみがえっても勉強を続けるが……。「ブーリン家の姉妹」のジャスティン・チャドウィック監督が、実話をもとに手がけたヒューマンドラマ。
勉強に終わりはない
舞台はケニア。長年イギリスの植民地だったこの国の政府が、ようやく無償教育制度を導入。
このお知らせを聞いた子ども達が、草原にぽつんと建った小さな小学校に一斉にやってきます。
ワーワー、キャーキャー、走ってやってきます。
そんな元気なシーンからスタート。
その中に一人、杖をついた背の高い老人マルゲの姿。御年84歳(には見えない!)。
入学を希望するマルゲを、学校側は「大人だからダメ〜」と門前払いに。
マルゲも「誰でも教育を受けられるって、言ったじゃねえか」と食い下がります。
何度断られてもめげずに学校へやって来る熱心さに心を打たれた教師のジェーンは、ついに入学を許可。
マルゲは子ども達に混じって、abcの書き方から学びはじめます。
古着の制服を着て通学するマルゲを同年代の大人達は笑い、学校なんかやめて一緒に飲もうぜと誘いますが、マルゲは一切相手にしません。
家に帰ってからも復習に励みます。アルファベットをひとつ書いてはとても嬉しそうにするマルゲ。
彼がこんなに熱心に勉強するのには理由がありました。
それは、イギリス政府から届いたある手紙を自分自身で読むため。
若い頃ケニアの独立運動に参加していたマルゲは、過去に壮絶な体験をしていました。
捕まり、拷問を受け、妻と2人の娘を目の前で殺されたのです。
そんなトラウマ体験が、老人となった今でも時折フラッシュバックし、マルゲを悩ませていました。
さて、マルゲがどうしても読みたい手紙とは一体どんな内容なのか…?
草原の小学校は、どうなるのか…?
タイトルから、ほっこり系の映画かなと思いますが予想に反して重みがあり、そして予想に反して良い映画でした。
苦しい過去を乗り越え、ただ一心に学ぼうとするマルゲの姿に感動します。
フランシス・ハ
原題:Frances Ha 2012年 アメリカ 86分
監督:ノア・バームバック 脚本:ノア・バームバック、グレタ・ガーヴィグ
出演:グレタ・ガーヴィグ、ミッキー・サムナー、アダム・ドライバー、マイケル・ゼゲン、パトリック・ヒューシンガー
ストーリー・概要(映画.comより)
アカデミー脚本賞にノミネートされた監督作「イカとクジラ」のほか、「ライフ・アクアティック」「ファンタスティック Mr. Fox」などウェス・アンダーソン作品の脚本にも参加しているノア・バームバック監督が、ニューヨークを舞台にモダンダンサーを目指す主人公の女性フランシスと、彼女を取り巻く奇妙な友人関係を、モノクロの映像でいきいきと描いたドラマ。主題歌はデビッド・ボウイの「モダンラブ」。「ローマでアモーレ」などに出演した女優のグレタ・ガーウィグが主演・共同脚本。
モダンダンサーを目指し、ニューヨーク、ブルックリンで親友ソフィとルームシェアをしながら楽しい日々を送っていた27歳のフランシス。しかし恋人に振られ、ソフィとの同居生活も解消になってしまったことから、居場所を求めて町を転々とするはめになる。周りの友人たちは次々と身を固めていき、焦りも感じたフランシスは、自分の人生を見つめ直していく。
愛され系こじらせ女子
モダン・ダンサーの研修生フランシスは、親友のソフィーとルームシェア中。
この2人の生活がまあ〜楽しそうなんですが、ある日ソフィーが憧れの地で暮らすためアパートを出ることになり、それを期にフランシスの生活も(何だか嫌な方向に)変わってゆくことに。
このフランシス、27歳という年齢(しかもフケ顔)の割にガキっぽいというか…。
「遊ぼうよー」としきりにソフィーを誘ったり、
唐突に「喧嘩ごっこしよう!」と言って知人をばっしばっし叩いたり。
おめえ小学生かよと言いたくなる行動のオンパレード。何じゃい喧嘩ごっこて。
親友が婚約者と日本に引っ越してしまうわ、所属していたダンスカンパニーはクビになってしまうわで散々な目に遭うフランシス。
本人はそこまでヘコんでいないように見えるんですけどね。楽観的というか、能天気というか…。
半ばヤケクソ気味に訪れたパリから戻ってきても状況は好転せず、母校でアルバイトをするシーンではさすがに可哀相になってきました。
でも再びソフィーと再会したことが転機となったのか、結局薦められていたカンパニーの事務員兼振付師(?)として働くことに。
クライマックス間際でようやく生き生きと働くフランシスが見れて嬉しかったです。
寮でもなく、誰かと共有でもない自分だけの部屋を手に入れたフランシスは、嬉々として郵便受けのネームプレートに名前を書くのですが、
そこでようやく、あの謎のタイトルの意味がわかりますよ。
おっちょこちょいな彼女らしい、素敵なラストシーンだったように思います。
モノクロなのに不思議と、キラキラとカラフルな印象を受ける、可愛らしい映画。
ウザさと可愛さの絶妙ラインをひた走る主人公フランシスがとっても魅力的です。